2017年11月5日日曜日

SDGs入門編/多文化ルーツの隣人と作る豊かな社会

2017年度開発教育・国際教育セミナー(実践編)
「学校で、地域で広げるSDGs」

◆第一回 2017年10月29日(日)10:30~16:30
 午前の部:SDGs入門編
 午後の部:多文化ルーツの隣人とつくる豊かな社会

まさかの二週連続の台風接近。
この日は大阪に最接近が予想され、開催されるかどうかもドキドキでした。
セミナー開始直前には大雨が降りだしましたが、30人を超える参加者となりました。

●午前の部:SDGs入門編
 講師:大阪大谷大学 人間社会学部 准教授 岡島克樹さん

 7月には京都の開発教育セミナー、8月のJICA関西の教員セミナーでもSDGsにふれていましたが、今回は岡島さんからSDGsの概要と特徴を教えて頂きました。

 SDGs(持続可能な開発目標)は2015年に達成期限を迎えたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として国連で採択されました。

 MDGsは途上国をターゲットにした開発目標でしたが、SDGsは途上国も先進国も対象となっており、ボーダーレスに「誰一人取り残さない」目標になっています。なので、日本に住む私たちもこの目標に向かってアクションしていける身近な目標としてとらえることができます。

 私たちは日々の大量消費や、気候変動など、これでは世界は続かないということを認識しはじめています。途上国の状況改善だけではなく、先進国側も今の生活を変えていかなくてはならない。岡島先生のお話の中で、このSDGsの特徴は「変革性」にあるとおっしゃっていました。SDGSには17の目標があり、169のターゲットで構成されています。世界にある様々な問題は個々ではなくすべて繋がっています。MDGsはNGOや国連職員だけで作られたものであったようですが、SDGは取り組むべき課題を多くの人たちがかかわって作られたというお話もありました。それは、社会の多様性に気づき、「社会的、環境的、経済的」な側面をとらえて取り組んでいく目標です。私たちの身の回りにある問題だけでなく、世界にはどんな社会課題があるのか進んで知っていく必要があるなと思いました。

 午前中の後半は、「SDGsを自分事にする」ワークをしました。
自分自身がかかわってきた活動を整理し、SDGsのどのゴールに関わっているのかを参加者で共有しました。

 でもでも、世界の問題、社会の問題にアプローチってなかなか大きな話すぎて、自分の行動がどうつながるんだろう?どうやってつなげていくんだろう?という疑問があり、講座が終わって先生に聞きに行きました。

 「地域で小さく活動してるんですけど、この目標に向かっているとはわかるんですが、末端市民の活動がSDGsを揺るがす方法ってあるんでしょうか?」という問いに対し、先生曰く、「僕だったらアプローチしていきますね。」と。

うーん。そうは言うけどねぇ。みんなが全力でその目標に向かっていく必要があるようです。2030年、SGDsの目標達成時にどう社会が変わっているのかを傍観するのではなく、一人一人が行動する必要があるということを実感する講座でした。

関連HP:総務省 政策統括官 持続可能な開発目標

●午前の部:多文化ルーツの隣人とつくる豊かな社会
 講師:すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK) 
    事務局長 早崎直美さん

 去年の寄付のワークの出会いをきっかけに、パレット中でも早崎さんの活動もっと聞きたいねーとみんなで話していました。午後の時間は早崎さんの活動の話を改めてお聞きし、いま日本にいる外国人労働者の置かれている状況を知る時間となりました。

 身近なことから世界と私を考える授業II―オキナワ・多みんぞくニホン・核と温暖化
の「多みんぞくニホン」のワークをもとに人物事例を早崎さんに提供していただき、パレットで再構成しました。

 人物事例(人物カード)には
・インドネシア人の技能実習生
・ベトナム人の留学生
・タイ人のタイ料理のコック
・ネパール人の高校生
・中国人のIT技術者
・フィリピン人の介護施設労働者
・ブラジル人の工場労働者
 それぞれの日本での生活背景などが書かれていてグループ内で共有しワークしました。

 とくに最近テレビなどでも多く取り上げられている「技能実習生」の問題。彼らを取り巻く状況なども知ることができました。それぞの人がもっている在留資格についても知る機会となりました。

 「新日系人」と呼ばれる存在も初めて知りました。
日本がバブルの頃、日本で労働していたフィリピンの女性たち。その後日本人男性と結婚する約束だったが結婚せずに、その日本人の子どもを産んでその後フィリピンに帰国した女性が多くいるそうです。その子どもの日本国籍を取ることを支援し、親子で日本に定住できるように支援する団体が最近あるそうなんですが、実際の目的は労働者としてのそのお母さんの存在が必要な人材となっているようです。来日に係った費用などの借金として抱え、そのために生活が苦しい状況といった方もいるそうです。

 日本政府は在留資格のなかに「介護」という資格を増やしました。
これから人口減少していくなかで、日本人がやりたがらない仕事を外国人が埋めていくことになります。政府は確実にその数を増やしています。しかし、私たちはその外国人をちゃんと受け止めているでしょうか?

 今回のワークショップではグループを町内会と捉え、上に紹介した外国人を町内にいる人とし、それぞれの人物カードから「外国人が困っていること」をピックアップしてもらいました。グループ内でシェアした上で、その困りごとを、町内会の隣人として同アクションしていくかというテーマで後半話し合いました。

 みなさん積極的にその外国人の方と共に生きることを考えてくださいました。
今回は人物カードと言うかたちでその外国人の背景を知ることができましたが、実際の社会では「なんか近所に外国人さんが住んでいるみたいやけど、どこの国の人?なにしてるんやろ?話しかけても大丈夫かな?何語でしゃべってみたらいいんやろ?」など、最初のとっかかりの壁が大きいような気がします。

 講師の早崎さんも個々の相談者さんとのかかわりはあるけれど、それを社会でどう受け止めるという話し合う機会はなかったので、今回のワークショップを見て、こういうことも必要だねと講座後、感想を述べてくださいました。

 ワークの終わりにはやさしい日本語(拡大中)⇒(ひろがる)の記事をご紹介しました。外国人だから外国語でしゃべるんじゃなっくって、日本にいる外国人は日本語がわかっている場合も多いようです。やさしい日本語から接することだったらできるかもしれません。大阪ボランティア協会では多文化子育て支援ガイドブック『日本語でつたえるコツ』を発行し、外国人のママにむけた子育て支援の在り方を提案しています。

★最後に

 私たちの便利な生活を支えてくれている外国人労働者。
 彼らがいなくなったら私たちの便利はなくなります。
 確実にその数が増える中で、制度や政策だけの問題と捉えるのではなく
 社会の一員として彼らを受け入れ、共に暮らしていくことを考える機会となりました。

 パレットメンバーの感想
☆早崎さんがRINKの活動を紹介する中で、「外国人の人々が住みやすい社会は、我々日本人にとっても住みやすい社会である」ことが印象的だった
☆「最後に、DEARの佐藤さんからのまとめにもありましたが、今隣にだれが住んでいるかもよくわからない、あってもあいさつ程度のご近所付き合いの中で、外国人の方に何かする、たかだか声掛けでもとても敷居が高くなってしまっている現実をまざまざと感じました。だからこそ、こんなことのような小さな声掛けが異国の地で生活する外国人にとっていかに心強いものかということですよね。」

身近なことをグローバルな視点でとらえて社会全体を見通していく。
午前中のSGDsのワーク。そして午後の外国人労働者の問題を見渡す一日でした。

終了の時間には台風一過。
雨も何とかやんで終わりました。

皆様ありがとうございました。

次回、第二回は2018年2月18日(日)10:30~16:30
   (申し込みは一ヶ月前から始まります)
   ”スマホの真実”からエシカルな選択へ
   講師:特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長
      田中滋さん

パレットミーティング次回は2017.11.12 アイハウス交流スペース 13:30~
開発教育に興味のある方参加できます。
次回の内容は10.29日の反省会、持寄りのワークをします。

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